【私一風】 
 私は、かつて、【神様】より、【真理】を、伝授されました。
 なかでも、その後の「修行」で、【地獄】の様子を、たくさん、教えられました。
 【この世】で、抱いていた、「心」が、そのまま、【あの世】に、持ち越される、のです。死んでも、「心」は生きていた、時の、ままなのです。そして、「心」にふさわしい、「世界」に自ら赴くのです。
 その一つが、【地獄】です。

 私一風の【思念】を、【神様】に集中させます。
 【神様】、よろしくお願いします。

【神様】
 これより、現代人が、多く赴くことになる、
 仕事中毒【地獄】に、案内する。
 心して、レポートせよ。
 お前(一風)は、保護下におくから、安心せよ。

仕事中毒【地獄】の様子
 ●‥‥住人 ☆‥‥一風 ◎‥‥【神様】

☆ 「あなた」は、何をされてるのですか?
● 仕事だよ、仕事。人間、仕事第一だ。
☆ ご苦労様です。何を作っているのですか?
● これは、部品の製造ラインだ。毎日、毎日、作るのさ。
☆ これは、ちょっと昔の、有害物質が含まれた、部品では、ありませんか?
● そんなこと、知らない。それより、ラインだ。ラインを、止めてはならんぞ。
☆ 「あなた」は、いつ、休むのですか?
● オレがいないと、誰がこの部品を、作るんだ。オレは、長いこと、休んでない。オレは、真面目なんだ。
☆ 家には、いつ帰るのですか?
● 家? 長いこと帰ってない。家に帰っても、女房とケンカばかりだ。それより、仕事してるのが、いちばん、だ。ここが、いちばん、落ち着くのさ。
☆ この、部品は、有害ですよ。
● そんなこと、知るもんか。とにかく、作るのさ。
☆ 公害で、辛い目をしている人が、いますよ。
● 仕事が、いちばん、だ。仕事して、何が悪い。お前も、仕事しろ。仕事しない、人間は、クズだ。
☆ たまには、休んでは、どうですか?
● 製造ラインを、止めるな。休むなんて、できない。人間、働くことが、いちばん、偉いんだからな。
お前は、さっきから、口ばかりだな。この工場から、追放するぞ。この道楽者が!
☆ 「あなた」は、死んでいて、ここが、【地獄】だとは、知らないのですか?
● ああ、死んだのかも、しれない。家にたまに、帰っても、誰もいないしな。女房も、逃げちまったかも‥‥。
☆ ここは、【地獄】ですよ。
● ここが、【地獄】で、たまるか。オレの神聖な仕事場だ!
☆ 「あなた」は、【神様】に祈ったことは、ありますか?
● オレは、仕事で、忙しいんだ! そんなヒマあるか! とっとと、出ていけ! この道楽者! ああ忙しい、忙しい!

◎ 悲しいかな、この【地獄】は、【この世】で、仕事、仕事、で生きてきた者の、行く場、である。この仕事【地獄】で、飽きるまで、仕事を続ける。何十年も、仕事を続けるのだ。そして、フト虚しさを、覚えたとき、この者の、【守護霊】が、現れる。
 
 この者には、まだ、【守護霊】が、見えないのだ。仕事に、固執し、仕事することが、一番の【美徳】と、思い込んでいる。これに、目が塞がれて、いるのだ。
 
 【守護霊】が、見えるまで、まだ、数十年、かかることだろう。
 
 【地獄】の住人は、真面目(※頑固)で、ひとの言うことは、聴かない。それが、特徴だ。

【私一風】
 この、世界は、どんより曇っておりました。日が差しません。それに、緑の植物も、見あたりませんでした。息が詰まる、ようで、長いできない、なと、感じました。
 【神様】、ご案内、ありがとうございました。