【地獄】界:「修行」・「苦行」【地獄】を、訪れる

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前号 375話より、続いて

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【修行者C】(※ひたすら、水行されている。冷たい水に、「身体」を、浸し、念じている)

【一風】 あのー。こんにちは。

【修行者C】 ‥‥。

【一風】 お話しを、うかがいたいのですが。

【修行者C】(※素っ気ない、態度で)
 仕方ないなあ。「修行」の、邪魔なんだけどー。
 なんですか?

【一風】 あなたは、何を、されてるのですか?

【修行者C】 見れば、わかるでしょ。
 水行ですよ。これが、各、「修行」の中で、
 いちばん、貴い「修行」なんですよ。

【一風】 「修行」に、差が、あるのですか?

【修行者C】 そりぁ、あります。
 この水行こそが、【悟り】に、いちばん、
 早く、達せられる、「修行」ですよ。

 水に、「身体」を、浸し、
 「身体」の、感覚を無くすのです。
 すると、あるのは、
 精神、だけです。

 【悟り】に、「身体」は、邪魔なのです。

 これが、「修行」「苦行」の、基本ですよ、
 あなた、よく、覚えておきなさい。

【一風】 そうなんですね。
 それで、成果は、どうですか?

【修行者C】 ええ、いい感じです。
 もう、少しで、【悟り】に、達すると、思います。
 「身体」の、感覚は、マヒして、
 もう、ありませんから。

【一風】 そんなに、冷たい水に、長く浸かっていては、
 大切な、お身体、壊しますよ。

【修行者C】 「身体」より、精神が、大事。
 精神一到、何事か成らざらん、ですよ。

【一風】 「身体」を、壊しても、ですか?

【修行者C】 そうです。
 【悟り】の前には、「身体」は、煩悩の元。
 邪魔です。

【一風】 そうなんですね。
 
 ところで、あなたは、「修行」で、
 何を、いちばん大事に、されていますか?

【修行者C】 いい、質問です。
 あなた、だけに、言うけどね。
 秘密、ですよ、これは。

【一風】 はい。秘密にします。
 教えて、ください。

【修行者C】 とにかく、
 ・ガマン、と、辛抱

 それと、
 ・ひたすら、努力

【一風】 ガマン、し続ければ、
 【悟り】に、達せられ、ますか?

【修行者C】 そう、信じなければ、
 こんな、「修行」、やってられないよ。

 あと、もう、少しの、辛抱だ!
 絶対、悟れる!

 そしたら、不老不死で、天国に、行ける!

【一風】 そうやって、どのくらい、「修行」されていらのですか?

【修行者C】 さあ? もう、10年は、
 家にも、帰ってないから、なあ。

 10年だ! どうだ! すごいだろ!

 (※実は、生前、この荒行が、原因で、この【修行者C】は、亡くなっているのである。しかし、【修行者C】は、自分が、死んでいることに、気づけず、この、【地獄】界でも、いまだに、荒行を、続けている、のである)

【一風】 一回、家に帰って、考え直されては、いかがですか?

【修行者C】 帰っても、もう、女房も、あきれたのか、家出して、いないよ。女房には、「修行」の、素晴らしさが、わからんのだ。

【一風】 「修行」しないと、【悟り】には、達しないと、お考え、なのですね?

【修行者C】 そうだよ。
 「人生」、「修行」だよ。
 あんたも、「修行」しなさい、よ。

 無駄口、たたく、ヒマがあったら、
 「修行」することだ。

 ああ、女房は、なんにも、わかっちゃ、いないよ。

【一風】 「修行」した人だけが、悟れる、のですか?

【修行者C】 そうだよ。「修行」の結果だ。

【一風】 だとしたら、「修行」できない、人は、
 どうなりますか?

【修行者C】 さあ? 少なくとも、
 【悟り】には、達しないね。

 死後、動物にでも、生まれ変わる、んじゃ、
 ないかね。ハハハハ‥‥。
 (※これは、完全に、間違いである。人間の【魂】は、人間にしか、生まれ変わらない)

【一風】 【悟り】は、達するものなのですか?

【修行者C】 そうだよ。
 「努力」の末に、勝ち得るものさ。
 
 あんたのように、「修行」も、せず、
 こうして、ブラブラと、旅行なんか、してると、
 永遠に、悟れないよ。
 気をつける、ことだね。ハハハハ‥‥。

【一風】 そうでは、ないと、私は、
 思いますがね。
 
 それより、もう、「修行」は、中止されて、は、
 いかがですか?

 「身体」に、悪すぎますよ。  

【修行者C】 好きで、やってるんだから、
 もう、ほっといて、くれ!

 あなた、なんか、なんにも、「修行」しないで、
 そんなんじゃ、いい所に、
 行けない、ぞ!

【一風】 いい、所に、行きたいの、ですか?

【修行者C】 そりぁ、そうに、決まってるよ!
 ああ、早く悟って、
 天国に、行きたいなあ。
 死にたく、ないし。

【一風】 あなた、は、ここが、
 【地獄】界、だとは、知らないのですか?

 もう、あなた、は、亡くなっているのですよ。

【修行者C】 何? 変なこと、言うなよ!
 ここが、【地獄】界?
 私が、死んでる?

 ちゃんと、こうやって、ピンピンしてますけど。
 「修行」してるのが、生きている、
 なによりの、証拠さ。

 あんた、頭、おかしいんじゃ、ないの?

【一風】 いいえ。ここは、残念ながら、
 【地獄】界です。
 実は、私は、【地上界】から、旅行してきた、
 一風と、言います。

【修行者C】 おーい! 誰かー!
 ここに、大うそつきが、いるよー!

 「修行」の、邪魔をする、
 大うそつきが、いるよー!

 皆で、こいつを、追放しよー!

 こいつは、悪魔だ!!

(※どやどやと、【修行者】たちが、集まってくる)

【一風】(※たまらず、その場から、走って逃げる)
 ああ、ダメだ。
 自分たちは、生きていると、思い込み、
 あいかわらず、「修行」「苦行」を、続けている、
 の、だった。

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※ ここで、この探訪も、タイムアップと、なった。

 ここでの、教訓は、私たちにも、大いに、
 参考と、すべき点が、多々あると、思う。

 ・ 闇雲に、ただ、
  辛抱・ガマンする、ことの、無意味さ

 ・ 唯我独尊、の、自己中心の、頑固な信念
  が、大きく、災いすること

 ・ 人のことは、目に入らず、
  ひたすら、自己の、努力のみを、尊ぶ、「愚」

 ・ 【悟り】への、誤った、思い込み

 などで、ある。

 ・ 「難行」「苦行」の、末にこそ、
  【悟り】は、ある

 といった、考えは、
 それに、相応した、【地獄】界を、造り出している、
 ことを、知るべきである。

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今回の、【霊界】探訪も、
大いに、反省と、教訓を、得られた、旅行でした。

こうした、探訪を、許可して、頂けている、
【神様】に、深く、感謝するのだった。

再び、【神様】に、【意念】を集中させ、
【地上界】に、戻ります。

【神様】、ありがとうございました。