【『小桜姫物語』から学ぶ真理「20」】

◎ 天狗界を、訪問して ④

※ 人さらい、のこと

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【引用文】

小桜姫より:

 最後に、私が、あの時、
 天狗さんの頭目から、聴かされた、
 人さらい、の、秘伝を、
 お伝えして、おきましょう。

 人を、さらう、ということが、
 本当に、できるので、ございますか?

 そう、私が、訊ねますと、
 天狗の頭目は、いとど、得意の面持ちで、
 こんなふうに、説明を、してくれた、
 のでした。

天狗の頭目より:

 あれは、本当と言えば、本当、
 ごまかし、と言えば、ごまかし、
 で、ござる。

 我々は、肉体ぐるみ、人間を、
 遠方に、連れていくことは、
 滅多に、ござらぬ。

 肉体は、通例、
 付近の、森陰や、社の床下などに、
 隠しおき、
 ただ、引き抜いた、魂のみを、
 遠方に、連れ出すので、ござる。

 人間というものは、案外、
 感じの、鈍いもので、
 自分の、魂が、身体から、出たり、
 入ったりすることに、気づかず、
 魂のみで、経験したことを、
 あたかも、肉体ぐるみ、実地に、
 見聞したように、勘違いして、
 得意に、なっているもので‥‥。

 側で、それを、見るのは、
 よほど、滑稽な感じがするもので、
 ござる。

 つづく

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『小桜姫物語』より、引用抜粋

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。