【『小桜姫物語』から学ぶ真理「28」】

◎ 妖精のこと ②

※ 梅の精との、対話

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
【引用文】

小桜姫より:

 ふと、気がついてみると、
 その小人(※梅の精)の、身体中から、
 発散する、何とも言えぬ、

 ◎ 高尚な、香気

 私は、いつしか、うっとりと、してしまい、
 ました。

 もしもし? 梅の精さん?
 あなたは、まあ、何とまあ、良い香りを、
 立てていなさるのです?

 そう言いながら、私は、なるべく、
 先方を、驚かさないように、
 静かに、腰を降ろして、
 この、可愛らしい少女(※梅の精)と、
 差し向かい、に、なりました。

 梅の精は、思いのほか、悪びれた様子もなく、
 私の顔を、しげしげと、見つめております。

 梅の精さん? 
 あなた、お年齢は、おいくつで、ございますか?

梅の精:

 年齢?
 わたし、そんなものは、存じません。

 梅の精は、

 ◎ 銀の鈴のような、きれいな声

 で、そう、答えて、
 キョトンとしました。

小桜姫:

 私は、自分ながら、下手なことを、訊いたと、
 すぐ、後悔しましたが、
 しかし、これで、妖精と、スラスラ談話が、
 できることが、判って、
 嬉しくて、なりませんでした。

 私は、続いて、いろいろ話しかけました。

 ホンに、あなた方に、年齢などは、
 ないはずで、ございました。
 でも、あなた方にも、やはり、
 両親もあれば、兄妹も、あるのでしょうね?

梅の精:

 私の、お母様は、それは、それは、
 優しい、良いお母様で、ございます。

 兄妹は、あんまり、沢山で、
 数が、わかりませぬ。

小桜姫:

 あなたは、よく、怖がらずに、
 私の所へ、来てくれましたね。

梅の精:

 でも、おば様(※小桜姫のこと)は、
 私を、可愛がって、ください、ますもの。

小桜姫:

 可愛がってくれる、人と、
 くれない、人とが、判りますか?

梅の精:

 はっきり、判ります。
 
 私たちは、気の荒い、人間が、大嫌いで、
 ございます。
 そんな、人間だと、私たちは、決して、
 姿を、見せません。
 だって、格別、用事もないのに、
 せっかく、私たちが、咲かせた花を、
 枝ごと、折ったり、
 何か、するんですもの。

 そう言って、梅の精は、眉に、
 八の字を、寄せました。

小桜姫:

 私には、それが、却って、可愛らしくて、
 なりませんでした。

 でも、人間は、
 この枝振りが、気に入らない、などと言って、
 時々、ハサミで、チョンチョン、
 枝を、摘むことが、あるでしゃう。
 そんな時に、あなた方は、
 やはり、腹が立ちますか?

梅の精:

 別に、腹は立ちません。
 枝振りを、直すために、切るのと、
 悪戯で、切るのとでは、
 気持ちが、すっかり、違います。

 私たちには、その気持ちが、よく判る、
 のです。

小桜姫:

 では、花瓶に、活けるために、枝を、
 切られても、あなた方は、そう、
 気まずくは、思わないのですか?

梅の精:

 そうは、思いません。
 私たちは、私たちを、心から可愛がってくださる、
 人間に、枝の一本や、二本、
 喜んで、差し上げます。

小桜姫:

 果実を、採られる、気持ちも、
 同じですか?

梅の精:

 私たちが、丹精して、作ったものが、
 少しでも、人間の、お役に立つと、思えば、
 却って、嬉しゅう、ございます。

小桜姫:

 木によっては、根本から、切り倒される、
 場合も、ありますが、
 その時、あなた方は、どう、なさる?

梅の精:

 そりゃ、よい気持ちは、致しませぬ。
 
 しかし、伐られる、ものを、
 私たちの、力で、どうすることも、できませぬ。

 すぐ、あきらめて、

 ◎ 木が倒れる瞬間に、立ち退いて

 しまいます。

 つづく

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『小桜姫物語』より、引用抜粋

ご質問など、あれば、お答えしますので、
【人生相談・ダルマ堂】まで、ご連絡願います。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。