【『小桜姫物語』から学ぶ真理「30」】

◎ 妖精のこと ④

※ 源実朝のことを、語る

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【引用文】

小桜姫:

 長い年月の間には、随分いろいろの、ことを、
 ご覧に、なられたことで、ございましょう?

鎌倉八幡宮、大銀杏の精:

 それは、見ました。
 
 そなたも、知る通り、
 この、鎌倉と申す所は、
 幾度となく、激しい合戦の巷(※ちまた)となり、
 時には、この銀杏の、下で、
 ご神前をも、はばからず、
 一人の無法者が、時の将軍(※源実朝のこと)に、
 対して、人情沙汰に、及んだことも、ある。

 そうした場合、
 人間というものは、
 さてさて、むごいことを、するものじゃ、
 と、ワシは、どんなに、嘆いたこと、
 であろう。

小桜姫:

 でも、よく、この銀杏の樹に、
 暴行を、加える者が、なかったもので、
 ございます。

銀杏の精:

 それは、神木であるお蔭じゃ。

 ◎ ワシの外に、この銀杏には、
  神様のご眷属が、大勢、付いておられる

 もし、いささかでも、これに、暴行を、
 加えよう、ものなら、
 たちどころに、神罰が下る、であろう。

 ここで、非命に倒れた、かの、

 ◎ 実朝公なども、今は、この樹に、
  憑って、

 守護に、あたって、おられる。

 いや、ちょうど良い折りじゃ。
 そなたも、一応、それらの、方々に、
 お目にかかるが、良いであろう。

 いずれも、ここに、お揃いに、
 なって、おられる。

小桜姫:

 そう言われて、驚いて、振り返って見ると、
 
 甲冑を付けた、武将たちだの、
 高級の、天狗様だの、
 が、数人、樹の下に、たたずみて、
 笑顔で、私たちの、様子を、
 見守っておられましたが、

 中でも、強く、私の眼を、惹いたのは、
 世にも気高い、

 ◎ 若々しい、実朝公

 の、お姿でした。

 つづく

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『小桜姫物語』より、引用抜粋

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。