『新樹の通信』から学ぶ、【真理】‥‥「50」

◎ 龍宮探検 ⑦

  乙姫様からの、言葉 その2

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☆☆【私(※一風)から】

 目には見えないものは、ないのだ、

 と、言われる方が、おられます。

 これは、随分狭い了見では、ないでしょうか?

 自分の視野が、そんなに、絶対的なもの、
 でしょうか?

 それなら、
 「死後」の世界は、どうでしょうか?

 見えないから、ないのでしょうか?

 これは、大間違いである、と、
 私(※一風)は、断言いたします。

 あなたの、「死後」、余計なことで、
 迷わないためにも、
 心を広く持って、お読みいただければ、
 と、念願いたします。

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『新樹の通信』より

乙姫:

 私が、結婚したことは、
 あなた(※新樹霊)の、今、言われた、
 通りで、あるが、

 しかし、話しは、ただ、それだけであって、

 後は、たいてい、
 人間が、勝手に、作り上げたものに、
 過ぎません。

 また、自分たち、龍神の、
 夫婦関係、というものは、
 人間の、夫婦の間柄とは、
 たいへんな、相違で、
 言わば、

 ◎ 霊と霊との、和合

 なのです。

 そこは、充分、飲み込めるように、
 とくと、人間の世界に、伝えてもらいます。

新樹霊:

 わかりました。
 (※と、新樹は、殊勝らしく答えました)

 ただ、それにつけて、伺いたいのは、
 乙姫様の、ご主人様の、お名前は、
 何と、申し上げて、宜しいのでしょうか?

 やはり、彦火火出命様と、
 仰られるの、ですか?

乙姫:

 そう、申し上げて、宜しいのです。

 もっとも、名前というものは、

 ◎ ただ、人間にとりて、必要な、
   一つの、符丁

 であって、

 ◎ こちらの世界には、全然その必要は、ない

 のです。

 ◎ 心に思えば、それで全ての用事は、
   立ち所に、弁じてしまい

 ます。

 このことも、よく取り違いせぬよう、
 人間に、伝えてください。

新樹霊:

 承知しました。

 それで、その彦火火出命様ですが、
 古事記に、書いてある所によると、
 御同棲後、三年ばかり、故郷忘れ難く、
 そのまま、龍宮界を、立ち去られたように、
 伝えてありますが、

 あれは、いったい、どういう次第なので、
 ありますか?

 お差し支え、なければ、
 その、真相を、お漏らしになって、
 いただきたい、もので‥‥。

地の文:

 すると、乙姫様は、今までよりも、
 ずっと、しんみりしたご様子で、
 こう、語り出られたの、でした。

乙姫:

 あれも、やはり、地上の人間が、
 例の筆法で、面白く作り上げたもの、
 なのです。

 新婚の若い男女が、初めて同棲することに、
 なった、当座は、
 誰しも、万事をよそに、
 ひたすら、相愛の嬉しい夢に、ふけります。

 これは、肉体の悩みを知らぬ、
 霊の世界ほど、一段その感じが、
 強いとも、言えます。
  
 が、恋愛のみが、生活の全てで、
 ないことは、 
 こちらの世界も、人間の世界も、
 何の相違も、ありませぬ。

 女性としては、もちろん、いつまでも、
 良人の、愛に、浸りきっていたいのは、
 山々で、あるが、
 
 男性は、そうしてのみも、おられませぬ。

 こちらの世界の、男子として、
 何より、大切なのは、

 ◎ 外の世界の、調査探究

 それが、つまり、

 ◎ こちらの世界の、学問であり、
   修行である

 のです。

 私の良人も、つまりそのために、
 間もなく、龍宮を後に、
 遠き、修行の旅に、出掛けることに、
 なられました。

 もちろん、それは、ただ新婚の際に、
 限ったことでは、ありません。

 その後も、絶えずそうした仕事を、
 繰り返して、おられます。

 そうした、門出を送る、妻の身は、
 いつも、言い知れぬ、
 寂しい寂しい、感じに打たれ、
 熱い涙が、とめどもなく、にじみ出るもので、
 それが、

 ◎女性のまこと

 というもの、でしょう。

 私とて、どんなに泣かされたか、
 しれませぬ。

 いかに、引き止めても、
 引き止められぬ、男の心‥‥、
 分かれの辛さ、悲しさは、
 全く、何物にも、たとえられぬ、
 ように、思いますが、

 しかし、その中に、時節が来れば、
 良人は、再び、溢るる愛情をたたえて、
 妻のふところに、戻ってまいります。

 合っては、離れ、
 離れては、また、合う、
 ところに、
 夫婦生活の、面白い、綾模様が、
 織り出されるのです。

 私の良人は、もともと、
 龍宮の世界のもので、
 従って、他の故郷などの、
 あろう筈が、ありませぬ。

 あれは、ただ、人間が、
 そういう事にして、
 別れる時の、悲しい気分を、
 匂わせたまで、のもの、です。

 まんざら、跡方のない事でも、
 ありませぬが、
 しかし、事実とは、よほど、
 違います。

 一口に言うと、たいへんに、
 人間臭くなっている、と、
 申しましょうか‥‥。

地の文:

 こんな話しを、されるときの、
 乙姫様の表情は、実に生き生きと、していて、
 悲しい物語りを、される時には、
 深い愁いの雲が、こもり、
 嬉しい時には、
 また、いかにも、晴れ晴れとした、
 面持ちに、なられるので、

 そのすぐ前で、耳を、傾けている、
 二人の感動は、とても、深いものが、
 あるのでした。

 つづく

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。