【霊界】探訪
【神様】の、許可を得て、
「お金」【地獄】に、赴かせて、いただきます。

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【私一風】 (※曇よりした空気に、包まれている)
 あのー。すいません。
 ここは、どこですか?

【★住民A】 ここは、日本の○○県○○市、だよ。

【私一風】 ?? (※死んでいる自覚が、ないようである)。そうですか。それにしても、ここは、天気が、こんなにも、曇よりしていて、暗いですね。

【★住民A】 そうか? ここは、いつも、こんなんだよ。

【私一風】 晴れの日は、ないのですか?

【★住民A】 そういえば、全然、このところ、晴れた日が、ないなあ。お日様なんて、何年も、見ていないよ。

【私一風】 ここには、木も花も、ありませんね。

【★住民A】 そういえば、そうだ。お日様が、ないから、みんな、枯れたのかも、しれない。

【私一風】 ところで、ここでは、何がいちばん大事ですか?

【★住民A】 「命」と、いいたいが、あんたにだけ、本当のことを、言うよ。実は、「お金」だ。「お金」が、いちばん大事だ。決まっているではないか。言わないだけだ。
 実は、ここでは、みんな、「お金」を、大事にしている。皆、「お金」を、貯めて、隠し持っているんだ。

【私一風】 へー。そうなんですね。「命」より、大事なんですか?

【★住民A】 生きるためには、「お金」がないと、生きられないじゃ、ないか。だから、この町では、金庫がよく、売れてるよ。それも、頑丈な金庫がね。ヒヒヒ‥‥。「お金」が、盗まれないように。ヒヒヒ‥‥。

【私一風】 見せてもらえませんか? その金庫を。

【★住民A】 バカ言うな。隠してあるんだよ。
 ハハーん。お前さん、「お金」を盗みに、来たんだな。どおりで、この辺では、見かけない顔だと、思ったんだ。

【私一風】 そんなこと、しませんよ。「お金」を盗むなんて。

【★住民A】 ここでは、泥棒が、たくさんいるのさ。幾ら「お金」を金庫に、しまっても、いつの間にか、なくなるのさ。きっと、泥棒さ。けしからん。

【私一風】 あなたは、「お金」持ちの、ようですね。何に、「お金」を使いますか?

【★住民A】 「お金」を使う? バカ言っちゃいかんよ。「お金」を使えば、「お金」が減るじゃないか。いいか。「お金」は、使えば減る。「お金」は、使わず、貯めるものだよ。
 お前さん、ヤッパリ、泥棒だな。オレの「お金」を、盗みに来たんだな。そうは、させないぜ。
 おーい! ここに、泥棒が、いるぞ!

【私一風】 私(※一風)は、泥棒なんかじゃ、ありませんよ。(※と言って、その場から、逃げる)

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※隣町まで、来る。

【私一風】 ああ、さっきは、危なかった。あの人、人を見たら、泥棒だと、思っているのか、目がギラギラしていたなあ。ここでは、皆、ああやって、自分の「お金」を、守っているのかも、しれない。

【★住民B】 お前さん、誰だ?

【私一風】 一風と申します。ここへ、旅行で来ました。

【★住民B】 旅行だって? 怪しいやつだ。
 お前さん、「お金」を、盗みにきたんだろう。

【私一風】 冗談じゃありませんよ。この町が、どんなところか、ただ、旅行に来ただけです。

【★住民B】 ここは、いい町だよ。でも、油断してると、「お金」が、盗まれる。金庫に、しまっているのにだ。おかしなことだよ。いくら、財テクして、増やしても、いつの間にか、それが、なくなってるのさ。たまらないよ。

【私一風】 あなたは、ひょっとして、もう、死んでいることに、気づいていない、のですか?

【★住民B】 死んでるって? お前さん、バカ言っちゃ、いけないよ。こうやって、ピンピンしてるじゃ、ないか。

【私一風】 あなたは、家族が、いますか?

【★住民B】 ああ。いたとも。でも、何年か前に、妻も子どもも、家出して、それっきりさ。そうだ。「お金」を持ち逃げ、したんだ。そうに、違いない。

【私一風】 いいえ。あなたは、亡くなったんです。
 だから、家族が、いなくなった、んですよ。
 ここは、本当は、もう、「お金」なんか、いらない、世界(※【霊界】)なんですよ。気づいて、くださいよ。

【★住民B】 この、嘘つき野郎! オレが、死んでる、なんて、嘘ばっかり、つきやがって! 警察を呼んで、牢屋にぶち込むぞ! この、泥棒が!

【私一風】 すいません。
※また、逃げ、その場を、立ち去る。

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【私一風】 あなたは、【神様】がおられることを、知ってますか?

【★住民C】 【神様】だって? そんなもの、本当は、いないんだよ。
 お前さん。【神様】より、「お金」を、拝むんだね。「お金」さえ、あれば、何だってできるんだから。

【私一風】 あなたも、もう、ご自分が、死んでることを、知らないの、ですね。

【★住民C】 バカ言うな。ちゃんと、生きてるよ。生きて、財テクして、利子を確認する、毎日さ。ああ、忙しい、忙しい! 毎日、確認しないと、知らぬ間に、減るのさ。「お金」がね。

【私一風】 あなたは、「お金」より、大事なものが、あること、を、知らないと、いけませんよ。

【★住民C】 おーい! ここに、大泥棒が、いるぞ!
オレたちの、「お金」を、盗みに、来てるぞ! みんな、こーい!

※ ゾロゾロ、この【地獄】の住民が、集まってくる。

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 ここで、「お金」【地獄】の、レポートを、終わる。
 
 とても、息苦しく、ムッとするよな、空気で、あった。

 「お金」に、執着するのは、覚悟していたが、それよりも、あんなに、他人を、信じられない、のかと、唖然としたのだった。自分以外の、他人は、泥棒に、見える、ようである。

 悲しい、【地獄】であった。【愛】は感じられなかった。