新時代への、知識「26」

◎「見返り」を求める心と、「与える」だけの心

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【【神様】からの解説】

 ここで、【ダルマ大師】の伝説を、例に出す。

 【ダルマ大師】は、インドから、南回りで、
 中国の、江南に、渡った。
 当時は、中国は、南北朝時代で、
 南朝は、「梁」という、国で、
 武帝という、皇帝が、治めていた。

 はるばる、インドから、渡ってきた、
 【ダルマ大師】に、対し、武帝は、
 
 ・大師は、お経一本も、持たず、
  手ぶらで、来られたのですか?

 と、問われた。

 すると、【ダルマ大師】は、

 ◎ はい。手ぶらで、来ました。
  大事なことは、お経には、表しきれませんので。
  経は、一本も、持っては来て、おりません。
  代わって、私自身が、来させていただきました。

 それには、武帝は、反応せず、
 話題を、変えて、こう、自信満々に、問うた。

 ・私は、これまで、仏教を篤く守るため、
  寺を、千軒、建立し、
  僧を、1万人、雇い、置いております。

 ・これにより、私には、どれほどの、
  ご利益(ごりやく)が、私に、ありますかな?

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 ここで、お前が、【ダルマ大師】なら、
 どう、返答する、だろうか?

 お前がする、返事を、決めてから、
 続きを、読んで、もらいたい。

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 【ダルマ大師】は、こう、返答した。

 ◎ 残念ながら、(※帝には)何も、ご利益なんか、ありませんよ。
 (※「一切無功徳」)

 ◎ ご利益(※見返り)ほしさに、
  どんなことを、しても、
  それは、無駄なこと、です。

 ◎ ただ、素直な心で、
  良いことを、してください。

 その、予想外の返答を、聞いた、武帝は、
 呆気にとられ、
 するどく、また、【ダルマ大師】に、聞いた。

 ・大師! 【真理】とは?

 ◎ からりと澄み切っており、正邪を、超えたもの。
  (※「廓然無聖(かくねんむしょう)」)

 ・大師! あなたは、いったい、どんなお方なのですか?

 ◎ そんなことは、どうでも、よいのです。
  (※「不識」(ふしき)」

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 どうで、あろうか?

 【ダルマ大師】と、お前は、
 同じ、返答で、あったろうか?

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 このあと、すぐに、【ダルマ大師】は、
 武帝の、元を、(※北へと)立ち去る。

 身の危険を、感じたからだ。

 事実、武帝は、【ダルマ大師】に、
 追っ手を差し向け、【ダルマ大師】を、
 捕らえようと、した。

 すでに、【ダルマ大師】は、
 長江を、舟で越え、
 北の、「北魏」へと、逃れ、
 少林寺郊外の、洞窟へと、行くのである。
 そこで、9年間の、禅定三昧(※面壁九年)、
 に、入られた、のだ。

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 お前は、見返りを、求めては、いないか?

 水面を、涼しく美しく、照らす
 月光は、
 見返りを、求めているか?

 穀物を、実らせる、日の光は、
 見返りを、求めているか?

 ◎ 月も、日も、与えっぱなし、である

 お前は、お願いごとを、しては、いないか?

 お願いごととは、
 見返りを、求める心、ではないのか?

 お願いごとを、して、
 叶わなかったら、
 【神】を、恨むのか?

 これだけ、お布施をしたのだから、
 何か、良いことも、あるのでは?
 などと、思っては、いないか?

 お願いごとを、する前に、
 今、こうして、お前が、あることに、
 【感謝】しているのか?

 こまった時、だけ、
 お布施して、お願いごとを、するのか?

 普段、こうして、生きていられていることに、
 先ずは、【感謝】できているのか?

 こうした、諸々の、ことを、
 この、【ダルマ大師】の、伝説は、
 お前たちに、問いかけて、いるのだ。

 他人事としてでなく、
 自分事として、考えて、もらいたい。

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 さらに、もう一つ加えて、語る、

 ・見返りを、求める、

 とは、

 ・何かをすれば、何かを得られるのでは?

 と、考えていることである。

 ・(※多額の)お布施を、すれば、
 ・(※【真理】の書かれた本を)読書を、すれば、
 ・(※苦しい)修行を、すれば、
 ・(※長く)坐禅を、すれば、

 で、【真理】に達せられる、と、
 考えて、いること、
 それ、自体が、

 ◎ 大きな、誤り

 なのである。

 ・目的が、あって、実践が、ある

 のでは、ない。

 ◎ 実践 = 目的

 なのである。

 即ち、

 ◎ 悟っているから、坐禅する

 のである

 ・ 悟る、ために、坐禅する

 のでは、ない。

 おわかり、いただけたで、あろうか?

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 今回は、ここまでとする。