【『小桜姫物語』から学ぶ真理「27」】

◎ 妖精のこと ①

※ 梅の精との、対話

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【引用文】

指導霊(※龍神のお爺さん):

 そなた(※小桜姫のこと)に、見せておかねば、
 ならない、世界が、まだ、残っている。

 人間は、草や木を、ただの、
 草や木と、のみ、考えているから、
 やたらに、花をむしったり、
 枝を折ったり、
 甚だしく、心なき、真似をするのであるが、
 
 実を言うと、草や木にも、皆、精、
 つまり、

 ◎ 魂が、ある

 のじゃ。

 精が、あればこそ、
 あんなにも、生を楽しみ、
 あんなにも、美しい姿を、造りて、
 限りなく、子孫を伝えていく、のじゃ。

 今日は、そなたを、この妖精たちに、
 引き合わせて、やるから、
 なるべく、無邪気な、気持ちで、
 彼らに、逢ってもらいたい。

 妖精というものは、
 姿も、可愛らしく、心も雅(※わか)く、
 少しでもこちらで、敵意でも示すと、
 皆、怖がって、何処ともしれず、
 姿を、消してしまう。

 人間界で、妖精の姿を、見る者が、
 たいてい、無邪気な、小児に、限るのも、
 その、せいじゃ。

小桜姫:

 こんなことを、話してくれながら、
 お爺さんは、私を、促して、
 山の修行場を、出かけたかと、思うと、
 そのまま、一気に、途中を飛び越して、
 たちまち、一望、目も遥かなる、
 広い、広い、野原に、出てしまいました。

 見れば、そこら中が、きれいな草地で、
 そして、格好のより、様々の、樹草、
 松、梅、竹、その他が、
 あちこちに、点綴(※てんせつ)して、
 いるのでした。

指導霊のお爺さん:

 ここは、妖精の見物には、おあつらえ向きの、
 場所じゃ。
 たいていの、種類が、揃っているで、あろう。

 よく、気をつけて、見るがよい。

小桜姫:

 そう、注意されている中に、
 もう、私の眼には、
 
 ◎ 蝶々のような、羽をつけた、
  大きさは、やっと、二三寸から、三四寸、
  くらいの、可愛らしい、小人の群れ

 が、チラチラと、映ってきたのでした。

 まあ、何という、不思議な、世界が、
 あったもの、で、ございましょう!

 私は、我を忘れて、夢中になって、叫びました。

 お爺さま、あそこに見ゆる、十五、六歳くらいの、
 少女は、何と、品の良い、様子を、
 していることで、ございましょう。

 ◎ 衣装も、白、羽も、白、
  そして、白い紐で、額に鉢巻きをして、

 おります。

 あれは、何という、精で、ございますか?

指導霊のお爺さん:

 あれは、梅の精じゃ。
 若木の、梅である、から、
 その、精も、やはり、少女の姿を、しておる。

小桜姫:

 木の精でも、やはり、年齢をとりまするか?

指導霊のお爺さん:

 年齢をとるのは、妖精も、人間も、
 同一じゃ。

 老木の精は、形は、小さくとも、
 やはり、老人の姿を、している。

小桜姫:

 そして、やはり、男女の区別が、
 ありますか?

指導霊のお爺さん:

 無論、男女の区別が、あって、
 夫婦生活を、営むのじゃ。

小桜姫:

 そう言っている中に、
 件の、梅の精は、
 しばらく、私たちの方を、珍しそうに、
 眺めていました。

 こちらに、害意がないと、知って、
 安心したのか、やがて、スーッと、
 ちょうど、蜻蛉のように、
 空を横切って、私の、足元に、飛び来たり、
 その、無邪気な、朗らかな、顔に、
 笑みをたたえて、下から、私を、
 見上げるの、でした。

 つづく

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『小桜姫物語』より、引用抜粋

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