『新樹の通信』から学ぶ、【真理】‥‥「30」

◎ 乃木霊との、対話 ③

  なぜ、殉死したのか?

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☆☆【私(※一風)から】

 今回からは、一問一答式で、
 浅野和三郎博士と、乃木霊との、
 問答に、なります。

 読者の皆様に、つきましては、
 よく御熟読のうえ、
 参考にされることを、
 願います。

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『新樹の通信』より

浅野和三郎:

 あなたが自殺されて、
 そちらの世界に、目覚める前後の状況を、
 なるべく、詳しく、お話しして、
 いただきたい。

 この学の研究のためにも、
 また、心ある日本国民の、考慮を、
 促す上からも、
 これは、甚だ、大切な資料と、
 考えられ、ますので。

乃木霊:

 それには、いろいろの事情が、‥‥
 (※一語一句、ポツリポツリと考えた口調で)
 
 自分は、先帝陛下に対し、奉りて、
 相すまぬ、と思うことも、数々あり、
 また、
 二人の子どもにも、別れてしまい、
 しかも、自分は、
 現世に、生き長らえていても、
 大して、国家のお役に立たない、老体と、
 なりましたので、
 
 陛下の崩御を伺う、と同時に、
 すっかり、覚悟を決めましたが、

 さて、どういう風にしたら、よいか、
 それには、いろいろ、苦心を、
 重ねました。

 まだ、なかなか、病気が出るような、
 模様でも、ない、身体であり、

 いかなる方法でもって、
 この世を、去ろうか、
 その事は、よくよく、考え抜きました。

 しかし、日本帝国の軍人である以上、
 潔よく、自刃して、相果てるのが、
 本望であろうと、
 遂に、そう覚悟を、決めました。

 いったん、覚悟を決めた上は、
 後は、非常に、気持ちがさっぱりと、したもので、
 何の事はない、
 ただ、一途に、
 あの世で、先帝陛下に、お目にかかり、
 また、陰ながら、日本国を、護らねばならぬ、
 と、そればかりを、考えるように、
 なりました。

 自分の覚悟は、詳しく、静子(※夫人)にも、
 話しました。

 すると、静子の決心も、自分と全く同一で、
 少しも、後に、生き残ろうという、考えはなく、
 それでは、私も、ご一緒にと、
 立派な決心を、してくれました。

 二人の子どもを、亡くしている、ので、
 世の中が、厭になっていた、せいも、
 ありましょう。

 さて、自刃の時期は、いつにしたものか、
 と、いろいろ考えましたが、
 陛下の御大葬を、お見送りした上で、なければ、
 早まったことに、なりますので、
 お見送りを、してから、
 ということに、決めました。

 お見送りは、自分たちの住宅で、
 致しました。

 それから、後のことは、
 ‥‥
 いかに、覚悟は、していた、というものの、
 それは、ちょっと、どうも、
 俺にも、話しかねる。‥‥

 ‥‥
 ‥‥

 俺は、自刃するまでの事は、
 よく、知っているが、
 その後の事は、
 しばらく、

 ◎ 何の記憶も、持っておりません

 ◎ ある期間、俺は、全然なんらの自覚もなしに、
   過ごしました

 つづく

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☆☆【私(※一風)から】

 なぜ、自刃したのか、
 乃木霊は、独白されて、います。

 さぞや、お辛い、思いで、
 おられ続けていたのだと、
 伝わってきました。

 さて、「死後」は?

 については、この後、
 述べられます。

 それは、次回に。

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。