『新樹の通信』から学ぶ、【真理】‥‥「47」

◎ 龍宮探検 ④

  御殿に、上がること

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☆☆【私(※一風)から】

 龍宮と言えば、乙姫さんです。

 文献では、乙姫さんは、姉妹であり、

 姉が、豊玉姫、
 妹が、玉依姫、

 と、あります。

 果たして、実際は、どうなのでしょうか?

 乙姫さんも、龍神の化身、なのでしょうか?

 興味は尽きません。

 それでは、前回に続いて、読んでいきましょう。

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『新樹の通信』より

浅野和三郎:

 お話しを、伺っただけでも、
 ほぼ、その状況が、察せられます。

 境内も、さぞ、立派でしょうね。

小桜姫:

 そりゃ、立派でございます。
 随分広い、お庭があって、 
 そこには、塵一つ、とどめません。

 樹木は、松、杉、檜、その他が、
 程よくあしらわれ、
 一端には、澄み切った水を湛えた、
 大きな池も、ございまして、
 それには、欄干のついた、風雅な橋が、
 架かっております。

 すべて、純粋の日本風の庭園でも、ないが、
 さりとて、支那風でも、また、
 西洋風でも、ない。

 やはり、一種独特の、龍宮風で、あります。

 大きな、面白い格好の、岩石なども、
 あちこちに、あしらわれて、あります。

 裏の方は、
 こんもりと茂った山に、包まれて、
 なかなか、奥深く見えます。

 が、概して、
 神社と、申すよりかも、
 むしろ、御殿‥‥、御住居と言ったような、
 趣が、みなぎって、おります。

 で、子どもも、
 たいへんに陽気に、なりまして、
 生前、かねて、うわさに聴いていた、
 龍宮の乙姫様に、早く、会わせてくれと、
 申します。

 私も、今日は是非、
 乙姫様に、お目通りを、願いたいと、
 思いました。

浅野和三郎:

 乙姫様と、申すと、
 いったい、どなたの、事で?

小桜姫:

 それは、豊玉姫様のことで、ございます。

 私の方の系統の、本元の神様で、
 そう申しては、何でございますが、
 この方が、

 ◎ 龍宮界の、一番の花形

 で、いられます。

浅野和三郎:

 それで、あなた方は、その、
 豊玉姫に、お会いなされた、のですか?

小桜姫:

 はい。
 お目通りを、致しましたが、
 それまでには、順序が、ございます。

 先ず、ご案内を頼む時に、
 子どもと、私との間に、
 一悶着、起こりました。

 私は、正面のお玄関‥‥、
 立派な式台の所に、立っていましたが、

 私が、子どもに向かい、
 
 あなたは、男の身で、
 今日の、責任者だから、
 ご案内を頼むのは、あなたの役目だ、
 と、申しますと、

 子どもは、もじもじと、尻込みを、
 してしまい、ました。

 「僕は、新前だから、駄目です。
 きまりが、悪い‥‥」

 そんなことを、申しているのです。

 致し方が、ございませんから、
 私が、

 「御免ください」

 と、申しますと、
 すぐに、一人の年若い侍女が、
 取り次ぎに、出て参りました。

浅野和三郎:

 年若の侍女と、申して、
 幾歳位の、方です?

小桜姫:

 さあ、ざっと、十六歳位でも、
 ありましょうか?

 たいへん品の良い娘さんで、
 衣装なども、神さんのお召しになられるような、

 ◎ 立派なもの

 を、着ておりました。

浅野和三郎:

 その、取り次ぎの女、だって、
 本体は、やはり、

 ◎ 龍神

 なのでしょうね?

小桜姫:

 無論、

 ◎ 龍神さん

 です。

浅野和三郎:

 昔、彦火火出見命(※ひこほほでのみこと)が、
 龍宮へ、行かれた時にも、
 一人の、婢(※おんな)が出て来たように、
 古事記に、書いてありますが、
 やはり、同一人物では、ないでしょうか?

小桜姫:

 さあ、それは、何とも、
 判りかねます。

 事によったら、同じ方かも、
 しれません。

 とにかく、私から、早速、
 来意を申しました。

 「私たちは、かくかく申すもので、
 この子の父親からの、依頼により、
 今日は、わざわざ、龍宮探検に参りました。
 お差し支えが、なければ、
 何卒、乙姫様に、お目通りを許されたい、
 と、そう、お取り次ぎを、お頼みします」

 その辺の、呼吸は、
 少しも、人間の世界でやるのと、
 相違はございません。

 婢(※おんな)は、一礼して、
 引き込みましたが、
 間もなく、また、姿を現して、

 「乙姫様には、その事を、とうに、
 ご存知で、いらせられます。
 どうぞ、お上がり、くださいませ」

 と、申します。

 で、私は、草履、
 子どもは、靴を脱いで、
 式台に昇り、
 導かれるままに、長い廊下を、
 いくつも、いくつも、クネクネクネクネ、
 回って、
 奥殿深く、進みました。

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☆☆【私(※一風)から】

 この、取り次ぎからの、様子は、
 古書に、書かれているのと、同じであります。  

 おそらくは、
 この、侍女も、乙姫の分身ではないかと、
 推察します。

 尚、事が事だけに、『新樹の通信』から、
 文章を割愛することなく、
 載せております。

 一言一句が、全て大切だと、思うから、
 です。

 次回は、いよいよ、乙姫様と、対面し、
 問答が、されると、思います。

 次回を、お待ち願います。

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。