良い言霊:21

◎ あしびきの、山鳥の尾の、しだり尾の

  長々し夜を、ひとりかも寝む

  柿本人麻呂の【言霊】

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☆☆【私(※一風)から】

 この歌は、通常、上の句である

 ◎ あしびきの、山鳥の尾の、しだり尾の

 を、「長々」に掛かる、枕詞あるいは、
 序詞と、解説されます。

 しかし、意味のない言葉、というのは、
 古代には、ありません。

 柿本人麻呂は、歌聖とも、称される、
 歌に生きた、人です。

 持統天皇に仕え、歌で【言霊】を、
 詠んだのです。

 人里離れた、山奥にいるという、山鳥、
 その姿を見るためには、
 自らが、山に分け入って、
 何日も、待たねば、そんな珍しい鳥には、
 逢えません。

 そのために、何日も何日も、
 山でキャンプする、わけです。

 宝物に接するためには、
 苦労を厭っていては、ならない、
 ことを、例えています。

 人麻呂は、今夜も、歌という【言霊】のため、
 集中して、研究している、のです。

 ◎ 長々し夜を、ひとりかも寝む

 は、それを、現しています。

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。