良い言霊:62

◎ 「過ちすな。心して降りよ」

  吉田兼行の【言霊】

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☆☆【私(※一風)から】

 次のように、吉田兼行の書いた、
 『徒然草』には、あります。

 高名の木登りと言ひし男、
 人をおきてて、
 高き木に登せてこずゑを切らせしに、
 いと危ふく見えしほどは言ふこともなくて、
 降るるときに軒たけばかりになりて、
 「過ちすな。心して降りよ」
 とことばをかけ侍りしを、‥‥

 木登り名人は、弟子を木に登らせる時、
 高い所にいるときには、
 声はかけず、
 軒の高さ位に、降りてきた時、
 初めて声をかけました。
 「油断するな、慎重に降りよ」
 と。

 そのとおり、だと私(※一風)も、
 確信しております。

 例えば、病気のとき。

 治りかけの、病み上がりが、
 いちばん、気も緩み、
 危ない時と、考えます。

 大病に耐えた後、
 心身共に、軽快となり、
 もう、治りそうだ、
 と、思った時が、いちばん危ない、
 と‥‥。

 病み上がりでは、
 体力が、戻っていません。

 病み上がりで、喜んでしまい、
 この時、無茶をして、
 病気をこじらせたり、ぶり返させたり、
 が、多いのです。

医者は、この病み上がり、に際して、
 特に、無理させません。

 吉田兼行の、『徒然草』での、
 【言霊】

 ◎ 「過ちすな。心して降りよ」

 は、心の戒めとして、
 名言だと、思います。

 油断、大敵です。

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。