ことわざに学ぶ「人生」:その143

◎ 浜までは、海女も蓑着る、時雨かな

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☆☆【私(※一風)から】

 これは、
 江戸中期の俳人、滝瓢水(たき・ひょうすい)
 の、一句です。

 瓢水は、風邪をひいており、
 風邪薬を買いに、出掛けて、
 家を留守にしていました。

 その間に、旅の禅僧が瓢水を、
 訪ねて来て、その由を聞いて、
 命が惜しいのか?
 と言って、去りました。

 瓢水は、戻ってそれを、聞くと、
 門人に、この句を書いて、
 急ぎ届けさせました。

 旅の禅僧は、この句を見て、
 我が思いを、恥入り、
 瓢水の家に戻り、その夜は、
 語り明かした、という、
 ことです。

 読者の皆様には、お分かりでしょうか?

 瓢水は、命が惜しいのではなく、
 命をいとおしんだ、のです。

 身体は、【この世】での、大切な、
 乗り舟です。

 大切に、いとわねば、なりません。

 これから、海に入る海女ですら、
 時雨を避けるため、浜までは、
 蓑を着るのです。
 海で濡れるのと、雨で濡れるのとでは、
 同じように見えて、実は、
 違うのです。

 どうせ、濡れるのだから、と、
 普段を雑にしていると、
 身体を、壊す元となるのです。

 それと、同様であると、
 喝破していたのが、
 瓢水だった、わけです。

 私たちにの「人生」にも、
 生かしたい、ものです。

 ◎ 浜までは、海女も蓑着る、時雨かな

 は、秀逸な一句で、あります。

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。