特別連載:01『続・蜘蛛の糸』~カンダタと蜘蛛の精ヤアの物語~
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【1・再度、地獄に堕ちた犍陀多(カンダタ)】
犍陀多(カンダタ):
「あーー! 堕ちるー!」
「ダメだー! 堕ちるー!」
「助けてくれーー! 誰か助けてくれーー!」
犍陀多(カンダタ)が握っていた蜘蛛の糸は、そこからプツリと切れ、彼は独楽のようにクルクルと回りながら、元いた血の池地獄へと真っ逆さまに堕ちていくのでした。
鬼:
「こら馬鹿者! この地獄から逃げようとしやがって」
「お前ごときは、百年経とうが千年経とうが、この地獄から出られはしないんだぜ!」
「覚えたか! この亡者め!」
と、血の池に堕ちてきたカンダタを、鬼が金棒で散々に殴りつける。
カンダタ:
「ヒーー! 助けてくれー!」
「痛あー! 頭が割れるー!」
鬼:
「お前なんか、木っ端みじんに砕けて、無くなってしまえ!」
「これでもか! これでもか!」
カンダタ:
いかんいかん。これでは本当に、頭を砕かれ死んでしまう!
しかし‥‥、待てよ? 俺は死んで、ここに来たはずだ。だのに、また死ぬなんてできるのか??? 死んだ者が、また死ねるのか?
鬼:
「何馬鹿なこと考えている! お前なんかは、何度でも死ね!」
「血の池に、沈んでしまえ!」
カンダタ:
「ひー! 苦しいー! 助けてくれー!」
池から顔を上げれば鬼たちに殴られるし、沈められれば息が苦しい。
あー。天下の大泥棒、カンダタ様もついに一巻の終わりか‥‥。
‥‥。くそう! こんなところで死んでたまるか!
俺だけは絶対に生き残ってやるぞ! 泥棒で鍛えた根性だけは、誰にも負けやしないぜ!
それにしても何とか逃げる道はないものか??。ああ、息が苦しい‥‥。
さっきは蜘蛛の糸にすがって、いいところまで登れたと思ったが‥‥。まさか俺の後ろにあんなにたくさん、亡者どもが付いて来ていたとは‥‥。
許せん! あいつらのせいだ! あいつらさえ来ていなかったら、今頃は極楽に、‥‥。
ああ苦しい‥‥。もうたくさんだ! もうどうとでもなれ??。
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このように、カンダタは再度血の池地獄で、もがき苦しんでいるのでございました。
(つづく)