小桜姫の言葉に学ぶ【真理】と「人生」100

◎ 鎌倉八幡宮の大銀杏の「精」との対話

※ ワシはそなたを、よう存じておる‥‥。

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☆☆【私(※一風)から】

 小桜姫は、室町期の女性です。
 平安末期、源頼朝によって、
 鎌倉に鶴岡八幡宮が勧請され、
 すでにこの時期で、300年程、
 経っております。

 まして、小桜姫が昭和初期に、
 こうやって、通信を送ってくれた、
 この時期では、併せて700年以上も、
 経過している、ことに、なります。

 その社殿入り口の、御神木、
 大銀杏の「精」です。

 さぞかし、貫禄のある「精」に、
 違いありません。

 早速、どんな対話がなされたのか、
 読んでいきましょう。

◎ 小桜姫:
 私たちは、たちまちあの懐かしい、
 鎌倉八幡宮の社前に着きました。

 幅の広い石段、丹塗りの楼門、
 群がる鳩の群れ、それから、あの大きな、
 瘤だらけの、銀杏の老木‥‥。

 チラとこちらから、覗いた光景は、
 昔と、さしたる相違も、ないように、
 見受けられました。

 私たちは、一応参拝を済ませてから、
 直ちに、目的の銀杏の樹に、近寄りますと、
 早くも、それと気づいたか、
 白茶色の衣装をつけた、一人の「妖精」が、 
 木陰から、歩み出て、私たちに近づきました。

 身の丈は、七八寸、
 肩には、例の透明の羽根を生やして、
 おりましたが、
 しかし、よくよく見れば、 
 顔は、七十余りの、老人の顔で、
 そして、手に一条の杖をついて、おりました。

 私は、一目見て、これが銀杏の「精」だと、
 感づきました。

◎ 指導役のお爺さん:
 今日は、わざわざ、これなる女性(※小桜姫)を、
 連れて来ました。
 
 お手数でも、何かと、教えてあげて、
 ください‥‥。

◎ 大銀杏の「精」
 ようこそ、お出でくだされた。

 そなたは、気づかなかったであろうが、 
 実は、そなたがまだ可愛いらしい少女姿で、
 この八幡宮へ、お詣りなされた当時から、
 ワシは、そなたを、存じておる‥‥。

 人間の世界と、申すものは、
 瞬く間に移り変われど、
 ワシなどは、幾年経っても、元のままじゃ‥‥。

◎ 小桜姫:
 枯れた、落ち着いた調子で、そう言って、
 老いたる「妖精」は、
 つくづくと、私の顔を、打ちまもるので、 
 ございました。

 今回は、以上です。

 対話の本筋については、次回以降に、
 譲ります。

 なぜ、この大銀杏の「精」が、
 この八幡宮に、来たのか?

 実朝の暗殺について、などが、
 話される、ようです。

 次回を、お待ち願います。

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読者の皆様へ:今回も、お読みいただき、ありがとうございました。